本日、再審制度を見直す刑事訴訟法の改正法案が閣議決定されたというニュースを見ました。
ここで、出てくる「刑事訴訟法」や、「再審制度」というものは何でしょ
・・・(続きはこちら) 本日、再審制度を見直す刑事訴訟法の改正法案が閣議決定されたというニュースを見ました。
ここで、出てくる「刑事訴訟法」や、「再審制度」というものは何でしょうか?
まず、刑事訴訟法という法律は、刑事裁判を行うための手続きを定めた法律です。
具体的に説明します。
「人を殺した場合は、死刑又は無期若しくは5年以上の拘禁刑に処する」と、定めている法律は刑法です。
しかし、①人を殺したと指摘されている人が、本当に人を殺したのか?②その人が、本当に人を殺したとして、どれくらいの刑罰を科すべきなのか?という点については、刑事裁判で判断する必要があります。
この刑事裁判を行うにあたっての手続き上のルールを定めているものは、刑事訴訟法です。
(厳密にいうと、裁判が始まる前の警察・検察の捜査段階の手続も定めているので、刑事裁判のルールというのは若干不十分です。)
今回、刑事裁判を行うにあたっての手続き上のルールの改正として、「刑事訴訟法」の改正が行われることになりました。
次に、「再審制度」とは何でしょうか?
刑事裁判というものは、3審制がとられており、第1審の裁判・控訴審の裁判・上告審の裁判と3回審理を行うことが制度上予定されています。
(もっとも、控訴審・上告審の裁判が、充実して行われているかというと疑問です。)
この3回の審理を行い、判決が確定した場合でも、えん罪防止のために、再審制度という特別の制度が設けられています。
しかし、この再審制度の関する規定は、いままでの刑事訴訟法にも定められていたのですが、条文数が19条しか無く、具体的にどのように審理して判断するのかという手続きの進め方についての規定がありませんでした。
法律の条文が無いので、手続きの進め方については、裁判官それぞれの判断によって進められてきました。
一見すると、裁判官が判断するのだからいいじゃないかと思いそうですが、これは怖いことです。
裁判官は、法律に縛られて判断するから、その判断は法律の裏付けがあるものとして、(不満があっても)受け入れられるのだと思います。
それが、法律の裏付け無く、裁判官それぞれの判断のみに委ねられるとしたら、その正当性はどのように担保されるのでしょうか?
これまでも、担当裁判官次第で、再審裁判は、大きく揺れ動いてきました。
再審に積極的な裁判官であれば再審が前進し、消極的な裁判官であれば再審が後退するといった事態が現実に起こっていました。
そこで、このような裁判官の当たりはずれで再審裁判が左右されているのは不適切だということで、再審手続きに関する法改正が行われることになりました。
今回、最も話題になったのが、検察官の抗告禁止の点ですが、これは、今までの再審裁判でも、検察官が不必要と思われる抗告を繰り返して、再審裁判を長引かせてきたことを踏まえています。
再審に取り組まれている弁護士の方は、検察官の抗告が、極めて不誠実だと感じているので、この点は譲れない点であると思います。
しかしながら、今回の検察官の抗告禁止についても、原則禁止とされているだけで、全面禁止となっていないようです。
条文の詳細が報道ベースではわからないのですが、再審の開始決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある場合に限り、抗告できるという条文が入っているようです。
そうすると、「取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある」か否かの点で、抗告をして審理を長引かせる可能性は否定できないと思います。
今後の、衆議院・参議院で、さらなる議論が尽くされることで、よりよい刑事訴訟法になるとよいと思いました。
ちなみに、私が所属する愛知県弁護士会でも、今までにも再審制度に関する声明が出されていますので、興味のある方はご確認ください。